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魅惑のスカラ座〜ミラノ通信#31

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イタリアへ旅行の際は、オペラ鑑賞を旅程に組み込んではいかがでしょうか。世界三大歌劇場であるミラノスカラ座は、五感のすべてが心地よい刺激を受ける空間でした。ミラノ在住の河見恵子さんがレポートします。

魅惑のスカラ座〜ミラノ通信#31

■世界三大歌劇場のひとつ、ミラノスカラ座

世界三大歌劇場といえば、パリのオペラ座、ウィーン国立歌劇場、そしてミラノスカラ座と言われています。

ミラノの中心地であるドゥオーモ広場からガレリアを抜けると、レオナルド・ダ・ヴィンチ像と向かい合うところにあるのがミラノスカラ座。

華麗なパリのオペラ座とは違って、一見とても地味な建物に驚くことでしょう。広場の四方を囲む、市の持つ建物や博物館(数年前までは銀行だった)に調和して、どれがスカラ座か迷うほど。

元は北イタリアがオーストリア統治下にあった頃、テアトロ・ドゥカーレとしてオープン。火災により焼失後、1776年にオーストリア女帝マリア・テレジアの承認を受けて改めて再建されました。

サンタ・マリア・アッラ・スカラ教会のあった場所に作られたため、新劇場はスカラ座と呼ばれるようになりました。

現在の建物は、第二次世界大戦中1943年に爆撃され、戦後すぐに再建されたもの。2002〜2004年に舞台の近代化のために大規模修復が行われ、東京の歌舞伎座のようにオリジナルの建物の後ろにビルディングが建設されています。

スカラ座テラスからの眺め、右手にはドゥオーモへと続くガレリア

■赤と金色を基調にした豪華な客席

外観は素っ気なくても、舞台をぐるりと囲む客席は赤と金色を基調にした豪華なつくり。中央には365個のランプで作られたシャンデリアが下がり、素晴らしい存在感を示しています。

そして何より、毎年ミラノの守護聖人サンタンブロージオの祝日12月7日に迎える初日には、正装した紳士淑女が集うさまは壮観です。家も会場も、そこに暮らす、あるいはそこに集う人々がいて初めて、その雰囲気が作り上げられるのだと実感。

初日には、隣のガレリア中央通路にて、スクリーン中継されるのも毎年の恒例であり、人々が足を止めて眺め入っています。かたや華やかな劇場で高額を極めた初日チケットと衣装で鑑賞、そのすぐそばでは無料で映像だけを提供するあたり、さすがオペラの本場らしい、懐の深さを感じます。

赤と金色を基調にしたスカラ座の客席

オーケストラ席から

■王族用の座席も

さて、スカラ座内部に移りましょう。プラテアという一階平土間席は、かつては立ち見席のみで、ボックス席で優雅に鑑賞する貴族階級が観劇中に食したチキンの骨などが投げ込まれていた、などという、階級社会を象徴するような逸話も語り継がれています。

今ではこのプラテアは、ゆったりした座席で遮るものなく舞台を鑑賞できるため、特等の位置にあるボックス席と同額の高額な値段がつけられています。

(2018年現在で、総席数3600席。オペラ上演時プラテア216ユーロ、ボックス席前列と同額。あとは、ボックス席後列117ユーロから順に、リミテッドビューの席が50~80ユーロ、天井桟敷26ユーロ)

ボックス席は2階から4階、舞台脇からぐるりと馬蹄形に一周し、さらに天井桟敷ガレリアまで6層のつくりとなっています。ひとつのボックスには前列2席、後列2〜4席が用意された個室となり、案内係に扉の鍵を開けてもらって入室します。サテンとビロード張りの真っ赤な空間の個室感がたまりません。

前列なら柔らかなビロード張りの厚みある手摺りクッションにもたれて、あるいは肘をかけ、頭を預けてくつろいだ姿勢で観劇することも可能。対して後列席は、舞台横に位置するボックスだと特に、角度的にも舞台の観づらい席となります。

このボックス席、位置によっては、オーケストラの演奏の様子をつぶさに観ることができます。

パルコと呼ばれるボックス席の真っ赤な空間

2階の舞台正面には、各国王族や首相クラス向けの特別ボックス席が用意され、ひときわゆったりとした豪華なつくり。専用の扉の鍵を開けるとそこは控えの間、さらに緞帳のようなカーテンを開けてようやくたどり着けるのです。

王族用の特別ボックス席

また、舞台から向かって右手すぐのボックスには、暖炉のあるエントランス付きのボックスも。ここは、その昔、オーストリア女帝の娘、のちにフランス王妃となったマリー・アントワネット専用の観劇席だったとか。

専用出入口が設えられ、宿泊場所から誰にも見られずに出入りできたようです。ミラノがオーストリア帝国支配下だった歴史を感じるひとコマです。

マリー・アントワネットの暖炉付きボックス席と、そこからの眺め

他には鏡張りの部屋も。かつては個人の所有だった名残で、この鏡を使って、オペラグラス越しに、着飾った女性のファッションチェックをしていたとか。相手に気づかれることもなく、密かに虚栄心を満足させていたのでしょうか。

いつの時代も、女性同士、互いのファッションは気になるものなのですね。イタリア人のことなので、男性が連れの女性に気取られないよう、美しい女性を物色するのも多々あったことでしょう。

ボックス席、鏡張りの部屋

■併設された博物館も見どころたっぷり

スカラ座には博物館が併設され、過去の写真やパネル、楽器、楽譜、舞台衣装やアクセサリー、作家や歌手の肖像画、などが展示されています。

劇場を使っていないときには、ボックス席も2〜3解放しているので、実際に座って劇場内を眺めることも可能です。

フランツ・リストの使用していたスタインウェイのピアノ

展示いろいろ

■イタリア・オペラの本場でオペラ鑑賞を

1778年にサリエーリのオペラ「ヨーロッパ・リコノシュータ」で幕を開け、続くジャコモ・プッチーニの登場によりイタリア・オペラの最高峰となったスカラ座。

数々の映えある初演、偉大な作曲家ロッシーニやドニゼッティ、ベリーニ、ヴェルディが生まれ活躍した時代から、現在に至るまで、イタリアにおいてオペラとスカラ座は特別なものであり続けます。

今シーズンの演目より、ハッピーエンドなシューベルトの「フィエラブラス(FIERRABRAS)」、第九を思わせる旋律、ベートーヴェンの「フィデリオ(FIDELIO)」があります。

シューベルトのフィエラブラス

ベートーヴェンのフィデリオ

開演の知らせも、会場の照明をだんだん落として、ラスト近くには静かにライトが点滅。無粋なアナウンスは一切なし、大人の空間です。

美しい空間に、五感のすべてが心地よい刺激を受けます。

だんだん照明の落ちる開演の合図

イタリア・オペラの本場で、機会があれば是非、オペラ鑑賞を旅程に組み込んでみてはいかがでしょうか(各座席にイタリア語、英語が流れる個人用スクリーンも完備しています)。

スカラ座博物館は、イタリアの祝日以外はオープンしているので、こちらだけ見学することも可能です。

ライトアップされたスカラ座は、昼のそっけない外観とは変わって、夜の姿は非常に華やかさがあります。

ライトアップされたスカラ座

「Museo Teatrale alla Scalaスカラ座博物館」
Largo Ghiringhelli 1, Piazza Scala 20121 Milano

Open Daily
09.00am〜5.30pm
Final admission 5.00pm

Closed
7,24,25,26,31 December(24,31Only afternoons)
1,Janualy,Easter,1May,15August

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河見 恵子

日本航空で15年間、国際線客室乗務員として勤務。退職後はミラノに居住し、東京と往復する生活。ミラノ・ブレラ地区を中心に、身近な情報をブログやFBで発信。ミラノでは在イタリア日本人のために料理教室をオーガナイズ、開催。ワイン好...

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